「そのお気持ちはありがたいんですが…」と言えたらいいのに

外来に通っている患者さんのひとり。とにかく誰かに“手料理”や“お菓子”を渡したい、そんな方がいます。最初の頃はその気持ちがありがたくて、「わざわざ作ってきてくれたんだなぁ」と受け取っていました。でも、ここ数年…正直なところ、ちょっと困っています。

というのも、その方の手料理、どうにも味が強烈なんです。塩辛さもすごいし、酢の物は「お酢、原液ですか?」ってレベル。味見してみても「これはちょっと…」というレベルを超えていて、とても口にできるものではない。お菓子は賞味期限が近いか切れています。かれこれ5年くらい、そんな手料理やお菓子を、ありがたくない気持ちで受け取っています。

もらってしまった後はそっと横流しにしたり、心苦しいけど処分するしかないこともあります。でも、やっぱり罪悪感が残るし何より「こういうの、やめてくれたら助かるな…」という本音がふつふつと湧いてくる。

ただ、そんなことをストレートに伝えられるかというと、それはまた別の話です。「いりません」「もう作らないでください」なんてハッキリ言ったら、きっと傷つけてしまう。善意でしてくれていることだから、こちらが“拒否”することのダメージは想像に難くありません。

しかも、本人は満面の笑みで「これ、昨日の夜仕込んだのよ~!食べてみてね!」なんて言ってくるわけで。悪気がないどころか、むしろ善意100%。受け取るしかない雰囲気を作られてしまって、断れない。毎回その繰り返し。

じゃあどうしたらいいのか?と考えるものの、正解が見つかりません。スタッフ間でも「またきたね…」「今回はどんなのかな」なんて、もはや恒例行事のようになってしまっています。

ここまできたら、やんわり断る技を磨くしかないのかもしれません。「最近胃の調子が悪くて…」「先生に食事制限されてて…」とか、体調を理由にしたり、「他の患者さんにもらったばかりで…」と数を理由にしたり。もしかすると、「衛生上のルールで、手作りのものを受け取れない決まりなんです」みたいな“ルールのせいにする”のもアリかもしれない。

ただ、こういうのって一度やんわり断っても、翌週にはまた渡されてたりするんですよね。本人にとっては“人にあげること”が大事で、その結果(食べてもらえたかどうか)はそこまで重要じゃないのかもしれません。でも、やっぱり…やめてほしいなぁ。

人の善意って、ありがたい反面、時にこんなにも扱いが難しいものなんですね。今まさに、優しさと正直さのあいだで揺れている日々です。ほんの少しでも、相手にとってもこちらにとっても心地よい着地点が見つかるといいのですが…。

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