
今日はちょっと心に残っている患者さんのお話をしたいと思います。
うちの病院に、かかりつけではないけれど傷のつけかえのために通っていた患者さんがいました。糖尿病が進行してしまい、両足の1本ずつが壊死してしまっている方でした。
毎日足を洗って軟膏を塗って、包帯を巻いて…の処置。でもその方はいつも「痛いからやめてくれ」「もう治らなくていい」「死んだほうがマシだ」って口癖のように言うんです。
正直、その言葉を聞くと私たちも胸がぎゅっとなるんですが、それでも手を抜くことはできません。痛かろうが、壊死した部分に古い軟膏が残っていたら意味がないし、何より処置を続けないと状態は悪化する一方。だから「今日も頑張りましょうね」「明日も待ってますよ」って、毎日声をかけていました。
ある日、その方がこんなことをぽつりとこぼしました。
「今度の休み、孫の運動会なんだ。でも足が痛すぎて、立ってなんていられないし、行きたくない」
聞けば、孫さんに「最後の運動会だから来てほしい」って頼まれていたんだそう。だけど足の痛みもひどく、なかなか良くならない状態が続いていて、気持ちも滅入っていた様子。
私は「車椅子でもいいじゃないですか!座ってでも参加して、お孫さんの姿を見てあげたら絶対喜びますよ」って伝えました。
だって、孫に「来てほしい」って言われるの、きっとおじいちゃんにとっても本当はすごく嬉しかったはず。行けば、きっと笑顔になれるって思ったんです。
でも、その数日後。
かかりつけの病院で入院することになってしまったみたいで、結局運動会には行けなかったみたいです。
なんだかすごく胸が痛かった。
患者さんは口では「もういい」「死んだほうがマシだ」って言いながらも、きっと本当は運動会、行きたかったんだろうなって思うんです。痛みと闘って、思うように動けなくて、弱音も吐きたくなる。そりゃそうだよなぁって。
私たちは良くなってほしい気持ちで毎日接してるけど、患者さんの気持ちもちゃんと受け止めながら、少しでも心が軽くなる言葉をかけられるようになりたいなと思いました。
病気の治療って、身体の傷を治すだけじゃなくて、心のケアも本当に大事。
あの日、あの患者さんにかけた言葉が少しでも力になってたらいいな。
そして、どんなに痛くても私たちは諦めない。そう思った出来事でした。
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